ネ タ 蝶 



1年7組(おおきく振りかぶって)

おお振りは7組と9組が最高にオイシイと思います。7組は美形組、9組はお祭組。そんな感じだといいと思います(どんな感じ)。9組'sが大好きな私ですが今回は7組・クソレフトメインで。水谷はとても可愛い子だと思います。話し方とか語尾が伸びるのが好き。クリーム大好きってことは甘党?というわけでイチゴミルクを飲ませてみました。
 直感とかテレパシーとかそんな人間離れしたもんが自分にあるとは思ってない。でもおそらく廊下で繰り広げられている光景は想像通りのことなんだろうな、とは思う。しかも確信。オレはそれでも構わないけど、構わずにはいられない人間ってのもいるから、とりあえず教えてやろうと思う。 
「なー花井ー阿部ー」 
 イチゴミルク味のストローをくわえたまま――ちなみにパックの中身はもう無い――で名前を呼ぶと、二人は心底面倒くさそうに振り返った。どうやら二人も廊下の喧騒には気づいていたらしい。 
「お前ら聞きたくないだろうけど、言ってもいー?」 
「やめてくれ水谷」 
 花井がうなだれる。阿部は何も言わないが、心境は花井と一緒なんだろう。顔に青筋が立ちまくっている。 
「やめろって言われてもさー」 
 首だけを動かして教室の出口を見ると、戸は開いていて廊下の様子を簡単に見ることができた。 
 
 三橋と田島がキャッチボールをしている。 
 
「やっぱあれってまずくねー?」 
 あんのじょうの光景をみて、二人に同意を求めた。オレは別にあいつらの保護者じゃないから結構どうでもいい。でもうっかり球を誰かに当ててしまったり窓を割ってしまったりしたら、それはもう主将や副主将に飛び火がいくわけで。そしてそれをわかっているから、花井も阿部も面倒だと思ってるんだ。 
 つーか、それをわかっててあいつらを止めにいかない理由も、オレは知ってたりする。だって廊下にいんのは三橋と田島。んでもって、オレの前で不機嫌そうにしている二人は阿部と花井。この四人(プラス沖)はオレらのバッテリー。顔を出したら最後、ぜったいキャッチボールに巻き込まれることを二人は知ってるんだ。  
 ほんとなら阿部も花井もキャッチボールくらい付き合ってやればいいんだ。でもたまたま今日の五限目の授業は小テストがあって、生真面目なこいつらがその予習をやらないわけはない。ちなみに、オレは小テストもどうでもいい。平均くらい取れればそれでいい。(問題はその点数すら取れなかった場合だけど、それはそのとき考える) 
「そもそも、なんであいつらはうちのクラスの前でんなことやってんだ!」 
 おっと、とうとう阿部がキレたよ。でも言ってることはごもっとも。あいつら九組、オレら七組。やるなら自分とこでやれっていうのは当然だ。 
「でもお前らをおびき出すには仕方ないんじゃん?」 
「おびき出すって……」 
 脱力した花井は机の上に突っ伏した。阿部はまた数本増えた青筋で恐い顔になってはいるけど、特に何も言わなかった。だからといって、廊下に出ていくこともしなかったけれど。 
「ま、どっちみちすぐにお呼びがかかると思うよ」 
「「誰に」」 
 声をそろえてこっちを見上げる二人を見て、オレはいい加減味のしなくなったストローをパックごと握りつぶした。 
「誰って、そんなあいつらの教室でのお守り係に決まってんじゃんか」 
 そして小さくなったイチゴミルクのパックをゴミ箱に放り投げた瞬間、タイミングよく顔を出したそいつと目が合った。 
「よーす水谷ー。 花井と阿部いるかー?」 
 ものすっごく疲れた顔をしている花井と阿部を、オレは気のない笑顔で呼んでやる。 
 
「花井、阿部ー。 泉が来てるよん」 
 

>> DATE :: 2005/09/02 Fri


1年9組(おおきく振りかぶって)

泉が好きです。大好きです。1年9組'sが好きです。大好きです。
 ぱこーん、と小気味良い音がすると同時、田島が勢いをつけて立ち上がった。 
「はい、寝てません!」 
 伸ばした手をびしっと挙げるのは素晴らしいが、顔にいくつも制服の皺の跡がついているのが残念だ。 
 浜田は自分もふわぁと一つあくびをしながら、教師の説教を受けている田島を見た。怒鳴られながらも目は半分閉じていることから、おそらくほとんど聞いていないのだろう。その後ろの席では三橋が申し訳なさそうに俯いているが、先ほどまでは田島と同じく熟睡体制に入るところ――舟こぎ状態のときに先に熟睡していた田島が見つかった――だった。 
(―…確かにあの練習量じゃかったるい英語なんて聞いてたら眠くなるのは当然だよな) 
 早朝五時から始まる野球部の練習は、放課後は九時まで続く。練習量だけならかなりのものだと浜田は思ったものが、当の本人たちはそうでもないと言った。案外やれちゃうなどとこともなげに言った泉は、同じ野球部員が犠牲になって説教されているというのに、お構いなく教科書に目を落としている。否、そのふりをしてちゃっかり熟睡している。 
(そういや泉は英語がヤバイって言ってたっけ) 
 元来の器用さも手伝って他の教科は割りとそつなくこなす泉だが、どうにも英語とは相性が悪いらしい。試験前に野球部員で集まっている姿を図書室でよく見かけたが、苦手なところをお互いに補おうという作戦だったらしく、その場に激しくそぐわない田島や三橋の姿もあったのだから彼らはかなり本気だったのだろう。英語の答案を楽しそうに見せ合っていた姿を思い出し、浜田はその作戦は成功したんだなと思った。 
(しっかし、こいつらってほんとすげえよな…) 
 ふと、練習風景を思い浮かべる。自分は放課後の練習に付き合うことは多いが、早朝まで顔を出すことはほとんどない。だから聞いた話の中でしか想像できないが、それは決して泉のいう案外やれちゃうとかのレベルではないのだ。それをこなしながらこんなかったるい授業にまで出ているのだから、二回目の一年生をしている浜田にとっては野球部の彼は尊敬に値する存在だった。 
(ほんと、頑張ってるんだ!) 
 相変わらず半分寝ながら説教を受ける田島、むしろ自分こそが怒られているようにビクビクしている三橋、そしてその隙に要領良く眠をとっている泉。彼らを順に見ながら、浜田はこっそりにんまり笑って自分に気合を入れる。 
(オレだって、できることをやってやるんだ!) 
 横断幕はあとちょっとで仕上がるから、今度は腕章に手をつける。そしたら仲間も集めて…と浜田の計画も尽きることはない。 
 
 ただ残念なのは、その気合の入った笑顔が見事に教師の目にとまってしまたこと。 
 
 ターゲットが田島から自分に移ったことは、教師の浮かべる不適な笑みが物語っている。のんきに他人の観察をしていた浜田が実はまじめに授業を聞いていたというオチなどあるはずもなく、やはり彼も野球部員と同様に眠りの世界に入る寸前だったのだ。教科書は授業とはまったく関係のないページが開いている。 
 はは、と誤魔化し笑いをしながらこっそり周囲に助けを求めると、田島が楽しそうに笑顔を返してくれて――おそらくコイツは何も考えてない――、三橋がやっぱり泣きそうな顔をして(どうしよう…!)的な視線を送ってきた。最悪なのは泉で、いつの間にか目を覚ましていた彼は声にならない声でたった一言。 
 
 ば ー か 。 
 
 そしてふわぁと大きなあくびをして、再び同じ体勢で眠りにつくから憎たらしい。 
 浜田は(こいつ、先公にちくんぞ!)と念を飛ばしつつ、結局それをしない自分の甘さにがっかりしつつ、大人しく説教を受けたのだった。 
 
(せめて田島みたいに怒鳴られても寝れる図太さが欲しかった、な) 
 
 泣。 
 

>> DATE :: 2005/08/30 Tue


恥ずかしいやつら(グランディア3)

クリア記念にユウキ×アルフィナで。公式にここまで主人公カプをくっつけようという演出が多いRPGは珍しいのではないでしょうか。序盤からイチャイチャし過ぎ→むしろ親公認→中盤で仲間公認→街や村の人々の公認→子供までできちゃいました。…という展開は凄いです。対象年齢12歳以上になっているこのゲーム、恋愛マークがついているのはどういうことですか。
個人的にユウキはウルよりもロッツと会話してる方が好きです。仲間よりも親友というポジションがいいのかもしれない。
「ユウキ、私そこのお花屋さん覗いてくるね」 
 手を振りながら駆けてゆくアルフィナの背中を笑顔で見送り、ユウキは隣から感じる視線に目を向けた。 
「…何だよロッツ」 
「いや別にー? ただ相変わらずお前ら仲いいなーって」 
 ニヤニヤと含みのある笑みを浮かべながら肘でつつかれる。ユウキは「ハハハ…」と目を泳がせてみたが、ロッツの視線が切れることはなかった。 
「どうせ毎日好きだーとか言ってんだろ? 今さら照れんなって」 
 ユウキとアルフィナは本当に仲が良い。二人が本当にそういう仲になる前から周囲に間違われるくらいだったのだから、ロッツの言う「今さら」というのは見事に的を得ていた。アルフィナはどうだか知らないが少なくともユウキにはその自覚があったし――なんといってもユウキはアルフィナに一目惚れだった――、彼が自覚していることも周囲は知っているからこそ遠慮なく彼らを冷やかすのだ。 
 だからロッツのからかいの言葉も、いつものユウキなら軽く流すのだが… 
「好きって…そ、そんな恥ずかしいこと言えるわけないだろ!」 
 意外にも頬を紅潮させて反論した。ロッツは「へえ?」と首をかしげる。 
「なんか意外だな。お前ら見てると全身で好きですって言ってるようなもんだしさ」 
「そ、そんなことは…」 
「あるだろ」 
「……ある、かな?」 
「ある」 
 きっぱりと断言されて、ユウキはまたもや「ハハハ…」と笑って誤魔化した。 
「俺はほんとに意外だと思ったぞ。そんなに恥ずかしいか?」 
 真剣に語るロッツにユウキは苦笑いで答える。 
「いやぁ、ほんと今さらなことだしさ。別にそういうのはあえて言わなくてもいいっていうか…」 
「――ごちそーさん」 
 暗に言葉じゃなくても通じ合ってるとでも言いたげなユウキの言葉を、ロッツはさっさと自分から切り捨てた。自分から振ったネタではあるが、見せつけられるだけでなくノロケまで聞かされては堪らない。 
 ロッツがひとつ舌打ちでもしたい気分になったとき、ユウキの名を呼ぶ声が聞こえた。 
「ユウキー、見て見て!」 
 両手いっぱいに花を抱えたアルフィナが駆けてくる。転びそうになるのをユウキが難なく抱きとめると、アルフィナは嬉しそうに笑った。 
「あのね、最初は白と赤の花を買ったんだけど、お店のお姉さんがおまけに青い花もつけてくれたの。綺麗でしょう?」 
 ほらいい香り!と花に顔をうずめるアルフィナを、ユウキもまた嬉しそうに見つめる。 
 その姿を見て、ロッツは確かに「好きだ」なんて言葉はこの二人には今さら過ぎて必要のないものなのかもしれないと思った。ユウキは恥ずかしいと言ったが、それ以上に見ているこっちが恥ずかしくなるのもまた事実なのだ。 
 あーあちくしょう羨ましいぜと、ついつい本音が口から飛び出そうになったとき。ロッツは耳を疑うような会話を聞いた。 
 
「やっぱりアルフィナは花が似合うな。すごく可愛いよ」 
「そうかな? ユウキは飛行機に乗ってる時が一番カッコイイ!」 
「アルフィナだって空が似合うよ。髪が風でなびくときとか見とれるくらい綺麗だもんな」 
「そんなことないよ。ユウキの真剣な横顔だって…」 
 
 おいおいおい。誰が、何が恥ずかしいだって? 
「ユウキ、アルフィナ…」 
 脱力しながら声をかけると、彼らは幸せいっぱいの顔で振り返った。 
「「なに?」」 
 
 ロッツは、二人を冷やかすのも忘れ、ただひたすら早くガレージに戻って仕事したい…と真剣に思ったとか思わなかったとか。

>> DATE :: 2005/08/22 Mon


ごめんね(鋼・映画版)

アルとウィンリィ。映画版のアルは観る前まで物凄く引いてたんですが(容姿に)、一度観てしまうと登場人物中一番可愛いとか思ってしまうから恐いです。騒がれていたエド化現象は単に天真爛漫になっていただけだったので、それに素直さとラブリーさが加わった映画版アルは最強だと思います。…とアルについて語りながら、これはこっそりエドウィン話だったり。
「ごめんね、ごめんね」 
 久々に会った幼馴染は、私の顔を見るなり突然頭を下げてきた。が、謝られる覚えは私にはない。これが幼馴染の兄の方であれば理由は一つしかなく、気兼ねなく工具を投げ飛ばすところだったけれど、幸いなことに目の前の幼馴染は弟の方だった。私の可愛いスパナに傷がつかなくて済む。 
「久しぶりに会ったってのに何を謝ってんのよ、アル?」 
「ごめんね、ウィンリィ」 
 ここラッシュバレーへは私に会いにきたわけではなく、旅の途中でたまたま立ち寄っただけらしい。本当は会わずに出て行こうとしたのかもしれないが、うっかり再会してしまったからにはどうしようもないのだろう。アルフォンスは謝るばかりだ。 
「だから何なの。 あんたは何か謝るようなことしたの?」 
 本当なら一つだけ年下のアルフォンスだが、今はそれ以上に幼い姿をしている。これが代価というやつなのかもしれないが、そんなことは関係ない。彼も私の大切な幼馴染。うつむいた顔を覗き込むようにすると、アルフォンスは本当に申し訳なさそうに言った。 
「まだ――まだ、兄さんを見つけてないんだ。 ごめんね、ウィンリィ」 
 一瞬、身体が凍りついた。 
 アルが兄さん、と呼ぶだけでその姿が目の前に鮮明に映し出される。毎日嫌になるほどあいつのことを考えて、まさか今でも豆のまんまなわけないだろうから、きっとこのくらい身長が伸びて、それに合わせて手足はこのくらい…などの計算できるくらい忘れたことなどない。だけどそれをアルフォンスの口から聞くと、胸がしめつけられるような気分になる。 
「……そんなの、あんたが謝ることないじゃない」 
「だってウィンリィだって兄さんと会いたいだろ? 僕も絶対に見つけるって約束したのに…」 
「それでも、アルのせいじゃないわよ」 
 何とか笑顔を作ることに成功した私は、ね、とアルの頭をぽんぽんと軽く叩いてみた。 
「私は平気。それより問題はエドの方よ!まったく兄貴のくせして弟にこんな心配かけて…」 
 そのとき、私は確かに笑顔を作れたと思っていた。でも、その顔を見たアルの方が泣きそうになるのを見て、ああそれは失敗したんだと溜息が出る。 
 
「違うよ。心配してるのは僕じゃなくて兄さんの方だ。きっと、すごく心配してる。 ――ウィンリィが、また泣いてるんじゃないかって」 
 
 だからごめん、と悔しそうにうつむくアルフォンスは、嫌になるほどエドにそっくりだった。

>> DATE :: 2005/08/01 Mon


かの名前(鋼・映画版)

エドとアルフォンス。エドはアルフォンスにアルの存在をべらべらと喋ってましたが、ウィンリィのことはあえて話してなさそう。しっかし映画でエドが寝言でウィンリィの名前を呼んだときは本気でドキッとしたですよ。その夢にはアルもいたわけですが(笑)
「ウィンリィって誰?」 
 唐突に耳に入ってきた懐かしい名前に、エドワードは口に含んでいたコーヒーを力一杯吹いた。 
「ちょっと汚いよエドワードさん!」 
「き、急に変なこと言う方が悪い! なんでお前があいつを知ってんだ!」 
 見事に顔面にコーヒーをかぶってしまったアルフォンスが、うらめしそうにエドワードを睨みながら顔を拭く。 
「変なことじゃないですよ。エドワードさんが寝言でウィンリィって名前を何度も呼んでたから聞いただけだったのに」 
「ね、寝言?」 
 エドワードもナプキンで口元を拭きながら、何だただの寝言かと息をついた。が、逆に眠りながらもその名前を口にしてしまっていたことに赤面する。 
「あれ、赤くなった」 
「な…っあいつはただの幼馴染だ!」 
「エドワードさん、顔色は正直…」 
「う、うるせー!!」 
 どんなに怒鳴っても、頬が熱くなってしまう自覚はあった。弟の話はしても幼馴染のことまではあまり口にしなかったエドワードは、向こうの世界の住人の名をこちらの世界の住人の口から聞かされる不可思議に、想像していた以上に動揺する自分に驚いた。 
「…ほんとにさ、幼馴染なんだ」 
 一度深呼吸をすると、エドワードは乱暴にそそいだコーヒーを飲み込んだ。一気に飲むには熱すぎたが、喉を通るほろ苦さは少しだけ気を落ち着かせる。ドイツではミルヒカフェとかいうミルクを大量に入れたカフェオレが主流らしいが、一度アルフォンスが入れてくれた時にヘドロを見るような目で見てやったら、以来この部屋ではブラックしか用意されていない。もちろん、アルフォンスはミルクもシュガーも入れているようだが。 
「俺と弟と、あいつと。ガキの頃によく三人で遊んだ」 
「《あっちの世界》で?」 
 くすりと笑うアルフォンスに、エドワードは少しだけむっとする。 
「信じてねーくせに」 
「だって」 
「……別にいいけどさ。でも俺たちが育った世界も、ミュンヘンも、違うところなんて何一つとしてない。普通に街があって村があって、人が生活してる。それだけの世界だ」 
 目を伏せながら言うと、アルフォンスが困ったように眉を寄せた。 
 わかってはいる。どんなに説明してもアルフォンス――彼に限ったことではない。こちらの住人はすべて同じだ――は自分がいた世界のことは信じないし、理解しようともしない。さらには奇異なことを言う変人くらいまで思われているかもしれない。 
 しかしそれを当然だと思う一方で、エドワードはまだ帰れない、いつになったら帰れることができるだろうかと焦燥感を募らせるばかりだった。そこにきて懐かしい幼馴染の名前だ。懐かしいという言葉を使うには思い出は鮮明すぎるし、ましてやその存在を忘れたことなど一度たりともない。ただ、それを懐かしいという言葉でくくらないことには、こちらの世界で前に進むのは困難だったのだ。 
「同じような世界ではあるけど、やっぱりここと向こうでは全然違う。向こうには、俺を待ってる人がいる」 
 言い切ると、なぜか溜息が出てきた。前に進むための挫折はもう何度も味わったが、改めて故郷を口にするとそれはとても遠く感じる。 
「それがウィンリィって人ですか?」 
 エドワードの空気を読み取ったのか、アルフォンスの声は気遣わしげだった。幼馴染の名前にまた少しだけ赤くなると、あいつだけじゃねーけど、と視線をそらした。 
「でも、やっぱり待ってるんだろうな……いつだってそうだった」 
「エドワードさんを待ってられるってどんな人なんだろう」 
 茶化されたと感じたエドワードは「どーいう意味だ!」と口を尖らせる。それを笑ってごまかしたアルフォンスはそうじゃなくて、と続けた。 
「エドワードさんと対等でいられるってことはどれだけ明るい人なのかなって思ったんだ。それにもう二年も会ってないんでしょ?それでも待っているのなら…とても強い人なんですね」 
 明るくて、強い。 
 アルフォンスの言うウィンリィはまさに本人を指すにはうってつけの表現で。その姿を思い浮かべて、エドワードは一瞬目を見開いて口元を綻ばせた。…が、しかしそれはすぐに曇ってしまう。 
「エドワードさん?」 
「あいつは確かに明るくて強くて、俺はいつもそれに救われてた。でも…」 
「でも?」 
 その先を促すように顔を覗き込んでくるアルフォンスの顔は、夢にまで見る弟のアルフォンスとそっくりだけれども。しかしここは故郷ではないのだから、やはり違うのだ。そんな場所に自分がいるのだから、きっと彼女は―― 
 
「でも、きっとウィンリィは泣いてる」 
 

>> DATE :: 2005/07/28 Thu




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