ネ タ 蝶 



どちらの方が(あかく咲く声)

「あかく咲く声」より、会富と辛島くん。
愛情は国府さんの方が大きそうだけど、実は辛島くんの方がベタ惚れだったら良いなぁという話。
 放課後、辛島が国府を迎えに来た。 
 でも残念ね、国府は先生に呼ばれて職員室に行ってるのよ。 
 そう教えると、辛島は「そうか」とだけ言った。表情はいつものままで、心なんて全然読めやしない。 
「ねえ、あんた」 
 特に返事をするわけでもなく、辛島はこちらに顔を向けた。 
「あんた、あの子を幸せにできると思ってんの?」 
「え」 
 ようやく、表情に変化が出た。あの子、が国府を指していることは分かったらしい。 
「国府ばっかりがあんた好きで、見ていて辛いのよ。あんたはあの子を幸せにできるの?」 
 国府は大切な友達。あの子が不幸になるのは我慢できない。彼女は辛島と離れている方が辛いと言ったけれど、辛島も同じかどうかは別問題だ。 
 けれど、やっぱり国府を選んだ辛島を信じている自分もいたらしい。目の前にいる彼が首を横に振ったときは愕然とした。 
「あ、あんたねえ!」 
「彼女が僕といて幸せになれるわけないじゃないか。もちろん、そうならないために僕は努力を惜しまないけれど」 
「じゃあ!」 
「でも駄目だ」 
「…?」 
 ふと、辛島の目がゆるんだ。 
 そしてその柔らかい視線は私を通り過ぎて、廊下の向こうを捉えた。 
 私はその視線を追いかけて、先にあるものを見た。 
 
「僕が、彼女といるのが幸せでたまらないんだ。 
 ……どうしたら手放せるのか、もう分からない」 
 
 幸せそうな笑顔で国府が駆け寄ってくる。 
 辛島は軽く手をあげ、目はあの子を捉えたままで、もう一度呟いた。 
 
「ずっとそばにいたいと思うのは、僕の方なんだ」 
  
 
 その瞬間、思った。 
 決しておしゃべりではない辛島の、綺麗な声に乗った言葉は。 
 何よりも真実なのかもしれないと。

>> DATE :: 2007/02/09 Fri


彼はようやく少年に(あかく咲く声)

今更はまりまくっている緑川ゆきさんの「あかく咲く声」より、辛島くんと川口さん。
時間軸からして最終話より1〜2ヶ月後くらいで。
なんかもう川口さんはとにかく辛島×国府の二人をとことん温かい目で見守ってれば良いと思う。
「辛島くんのおかげで、思ったより早く終わったよ」 
 ありがとうと言うと、狐の面を取った少年はにこりと笑った。 
「僕の方こそまた川口さんに助けてもらって。 ありがとうございました」 
「いいや。でも上の連中が急に呼び出したりして悪かったね。本当はきみも用があっただろうに」 
 辛島という少年は、基本的に仕事を断らない。それを知ってか否か、上層部がこうして彼を呼び出すことは決して少なくない。もちろん、誰もが彼のことを心配している。けれど事件の早期解決には変えられないのだ。 
 ‘狐’の声は、強い。 
「はい――…でも今回は早く解決したし、大丈夫ですよ」 
 言いながら、けれど彼の手はさっさと帰る準備をしている。穏やかだけれど少し焦っているようにも見えるその仕草は、彼の用事とやらを容易に推測させた。 
「……国府さんかい」 
 ぴたりと手が止まる。 
「図星か。 う〜ん若いっていいねえ」 
「……川口さん、そのにやけ顔オッサンくさいッスよ」 
 呆れたように睨まれても、彼の頬に走った微かなあか色の微笑ましさには変えられない。自然と口元が緩んでくるのは仕方がないというものだ。 
「国府さんかー、暫く会ってないなぁ」 
「そういや彼女も川口さんと会いたいようなことを言ってたな……」 
「へえ、本当に?」 
「ハイ。川口さん退院してから一度も会ってないでしょ?こんなに早く仕事復帰して大丈夫なのかなって心配してましたよ」 
 屈託ないその笑顔はそういえば彼はまだ高校生になったばかりの少年だったのだと、そんな当たり前のことを思い出させる。 
 それは紛れもなく、彼が悩んで、ようやく手を取った彼女のおかげで。 
「よし、じゃあ今日はお祝いに何か三人で美味しいものでも食べにいこう」 
「え、やった!……って、何のお祝いです?川口さんの退院祝い?」 
「違うよ。君たちがちゃんと付き合い始めたお祝いだ。前回はフイにしちゃったしね」 
 また少しだけ濃くなった頬のあか色に、一層頬が緩む。 
「―――あ、でもせっかくのデートを邪魔するのは良くないか」 
「いえ…そんなことは……僕たちはいつでも会えるし」 
 いつも会ってるし、の間違いだろう。そう言うと肯定も否定もせず、少年は口を尖らせた。 
 ああ、と思う。 
 
 あの日、彼を追いかけてきてくれた彼女に限りない感謝を。 
 

>> DATE :: 2007/01/31 Wed


水盃(SAMURAI7)

 SAMURAI7、面白すぎて大変です。一番好きなのはヘイハチだけど、今回は出番無し。キュウゾウは一番ネタにしやすいと思います。シチロージは苦労人です。カツシロウはキュウゾウに心酔中。
 一つの茶碗を前に、二人は睨み合っていた。実際に睨んでいるわけではなく、ただ単に目つきの問題なのかもしれないが。 
「蛍飯だ。 お前さんの分だ、しっかり食え」 
 キュウゾウは差し出された茶碗の中を凝視し、特に表情を変えずに「いらぬ」と一言。一方、差し出したシチロージは眉を寄せながら「それはならぬ」と言った。 
 来るべき戦に向けて、サムライはこの蛍飯をもって水盃の代わりにすると言ったのはカンベエだ。当の本人とシチロージはすでに食べており、ヘイハチとカツシロウには今しがた渡してきたばかりだ。キクチヨにはコマチが食べさせているだろうし、残るはゴロベエとキュウゾウの二人だった。 
「何故、本人が持ってこない」 
「厳正なるくじ引きの結果、カンベエ様はゴロさんのところへ持って行くことになった」 
 だからお前さんにはアタシが、と付け加える。 
 果たしてそれが本当に厳正だったのかは、今となっては謎だ。キュウゾウが相手ならば一筋縄ではいかないことは、誰もが承知していること。どうせ断られることは目に見えているゆえ、カンベエがシチロージに押し付けたのかもしれない。 
 しかしそれは結果としてどうでも良いことだ。どんなに駄々をこねようと、この蛍飯は食べてもらわねばならない。 
「キュウゾウ、確かにこれまでのお前さんの食生活を考えれば……アタシもおんなじようなもんだ、これがどれほど辛いことかよく分かる。だがこの村を守ると決めたサムライ同士、けじめはつけなきゃならん。 お前さんだってサムライだ、それは分かるでげしょ?」 
「死ぬつもりはない。 だから水盃もいらぬ」 
「キュウゾウ」 
「俺は、食わぬ」 
「くっ強情な……」 
 シチロージは茶碗からつーんと顔を背けてしまっているキュウゾウに舌打ちをしたくなった。 
 神無村に集った七人のサムライのうち、一番舌が肥えているのはシチロージとキュウゾウだった。米に関してならばヘイハチが一番だが、それ以外のものであれば、この二人に敵うものはいない。前者は癒しの里の蛍屋、後者は虹雅峡のアヤマロの元にいた。両者とも食うものには困らず、むしろこのご時勢では贅沢といわれる物を日々口にしてきた。否が応でもグルメになってゆくのは当然である。 
 そこへきて、この蛍飯だ。噂には聞いていたが、百聞は一見にしかずとはよく言ったものだ。目の前でカンベエがするすると当然のように飲み込んだときは、本気で「嘘だろう」とツッコミたくなるほど、酷い――この神無村の民には失礼な話だが――食べ物だと思った。まず臭いが「飯」と名のつくものとは到底思えない。せめてここを改良すればもう少しだけでも食欲が湧かないでもないのだが……どうにもならないのだろう。味に関しては、もうシチロージは思い出したくなかった。飲み込んでいる間、ひたすら「早く戦を終わらせて蛍屋へ帰りたい」と願い続けたことだけはよく覚えている。 
「とりあえず、残るはお前さんだけだ。今頃はゴロさんも食べているだろうし、あの米好きのヘイさんですら、文句を言わずに食べたんだ。カツシロウも意を決して食べたのだぞ? お前さんがそんな子供のような真似をしてどうなる」 
 カツシロウ、と聞いてキュウゾウはあのキラキラした瞳で安眠妨害をしてくれたサムライ(見習い)を思い出す。そうか、あの者ですらこれを食ったのか。 
 さすがにあの子供よりも子供じみていると言われれば、キュウゾウとて黙ってはいられない。背けていた顔をふたたび茶碗に向ける。中には飯なのか汁物なのか区別のつかない物体が入っている。マロの邸にいた頃は、こんなもの見たことも聞いたこともなかった。キュウゾウは今まさに人生初の経験をしようとしていた。 
「何もそこまで深く考えなくても―――…って、おい!」 
 シチロージが止める間もなく、キュウゾウは細い目をカッと見開き、物凄い早さで中身を一気に口の中へ流し込んだ。しかし… 
「お、おい、キュウゾウ……?」 
 飲み込んだは良いが、キュウゾウは茶碗を口につけたままぴたりと動かなくなった。シチロージが心配そうにつついてみても効果はない。キュウゾウは固まっていた。 
「しっかりしろ、キュウゾウ!」 
 揺さぶってみても動かない。 
 参った、と困った声でシチロージは呟いた。まさか硬直するほど不味かったとは。いや、その気持ちはわかる、自分だって気を失うことができたらどれだけ楽だったろう。しかしカンベエはもとより、キララをはじめとした村の女子達を前にしてそれをしてしまうほど、腐ってはいなかったのだ。 
 とりあえず、この固まったキュウゾウをなんとかしなくてはならない。自分だって仕事があるのだ、こんなことで時間を潰してはいられない。だからといって放置しておくのも忍びない。一体どうすれば――― 
「シチロージ殿…と、キュウゾウ殿?」 
 声が、した。 
 振り返るとキラキラおめめが立っている。キュウゾウに蛍飯を食べさせることができたきっかけのこのサムライ(見習い)は、見回りの途中なのか、他には誰もいない。 
「カツシロウ、お前良いところに!」 
「はぁ…」 
 手招きをされ、いぶかしがりつつもカツシロウは駆け寄った。そして、ようやくキュウゾウが微動だにしないことに気がついた。 
「キュ、キュウゾウ殿…?! 一体どうされた!」 
「落ち着け、カツシロウ。 単に蛍飯を一気飲みしただけだ」 
「ほ、蛍飯を一気飲み―――!!」 
 カツシロウとて、生まれも育ちも高名な武家。シチロージやキュウゾウほどグルメではなくとも、それなりに舌は肥えていたはず。蛍飯がどれほどのものか身を持って体験したばかりなのだから、キュウゾウの行為は驚愕に値するものだった。 
「キュ、キュウゾウ殿はどこまで素晴らしい人なんだ…!」 
「や、それは違うでげしょ」 
 感激モードに入ったカツシロウには、シチロージの些細なツッコミは聞こえない。もとより大きく輝く瞳をより一層キラキラさせて、興奮しきりといった様子でキュウゾウを見上げている。 
「――ま、いいか」 
 シチロージはこの場をカツシロウに押し付け、もとい任せてさっさと持ち場へと去って行った。

>> DATE :: 2006/05/09 Tue


ラストシークレットの補完(TOA)

 すでにアップ済みの「ラストシークレット」の補完話…を書くはずだったけど時間は無い上にいろいろ挫折してしまったので、抜粋したところだけをここにアップ。「ラスト〜」でナタリアが泣いた理由。
「私、アッシュの存在を忘れてはいけないと思っていました。 もちろん忘れるつもりはありませんでしたし、それはこれからだって同じですわ。 けれどアッシュの生きてきた軌跡とか、その存在の大きさを記憶にとどめておくには、私とあの方が共有できた時間はあまりに少すぎた。 公爵や叔母様も同じことです。 私たちの記憶はとても小さなもので、あの方の成されたことには到底追いつかないのですわ。 私はそれが残念でならなかったのです。 ――あなたが、アッシュの記憶があると仰るまでは」 
 ルークが、はじかれたように顔を上げる。 
 それを見やって、ナタリアはようやく安心したように微笑った。 
「アッシュの存在はどこまでも続いています。 私の中の思い出に、あなたの中の記憶に、アッシュの存在はこうして全て残ることができるのですわ。――私は、それがたまらなく嬉しいのです。 それこそ、涙が出るほどに」 
「でも、俺だけが帰ってきて、お前は――」 
「それ以上は仰ってはなりません」 
 ぴしゃりと遮る。どこか泣きそうな表情のルークの目を見据えて、ナタリアは首を横に振った。 
「それ以上はいけませんわ。 あなたは帰ってきたのです。 それ以上はティアの存在がある限り口にしてはいけない言葉でしょう? 私にだってそのくらいはわかっているつもりです。 だから良いのです」 
「……ナタリア」 
「あなたはここに帰ってきて下さいましたの。 ルーク、あなたも私の大切な幼馴染なのです。 だからそんな悲しい顔をするのはおやめになって。 私の、あなたが帰ってきてくれて嬉しいという思いを踏みにじるような真似はなさらないで」 
 大きな瞳をふわりと細めて笑うその仕草に、ルークの中の記憶が一つだけ脈を打つ。それはルークの感情では決してなく、あくまでもただの記憶だった。けれど、あまりにも鮮明なそれはどうしても、ルークの口から零れずにはいられなかった。 
「けど、ナタリア。 あいつの最大級の隠し事は本当は俺なんかが持ってちゃいけなかったんだ。 お前が、ナタリアこそが持ってなきゃ何の意味もなかったのに」 
「…隠し事?」 
 ナタリアは不思議そうな表情で小首をかしげた。 
 アッシュの、一番の隠し事。それは全然隠れていなかったかもしれないけれど、最後に口にすることができなかった、唯一無二の真実。ルークの記憶にだけ存在する、それは。 
 
「あいつが、アッシュがどれだけ、お前を愛していたかってこと」 
 

>> DATE :: 2006/03/07 Tue


完結の幻想(幻水2〜3)

WEB拍手を置いていたときのお礼SS。
クラウスへの愛はいつになっても冷めることはありません。
 それは手入れをしなくとも汚れもしなければ傷もつかない。かつては文字が刻まれていたが、今は薄れてしまい読むことはほぼ不可能だ。しかもその文字が何語だったのか、今となっては思い出せない。 
 人はそれを約束の石版と呼んだ。名前の由来は誰も知らない。しかし当時――統一戦争時――はそれを知っているとおぼしき人物が一人だけいた。真の紋章で風を自在に操る冷たい表情の少年。彼は戦争終結と同時に姿を消したが、彼が守り続けたこの石版だけは残った。 
 
 彼は会議室へ行く途中で足を止めた。 
(へえ、珍しい) 
 この城の階段は一階広間の奥にある。左右から上がれるようになっており、どちらも中二階の通路へ繋がっていた。二階の通路の中心にはかつての仲間でもあった彫刻家の手で彫られたシンボル的銅像がある。その真下――一階最奥の中心――にある石版に、彼は目を留めた。古ぼけたそれの前に、見覚えのない少年と少女が立っている。 
(旅人には見えないし、この地の人間でもないな……) 
 城といってもこの建物の一階はほとんど開放してあるので、この地の住民や観光がてら立ち寄る旅人はわりと多い。最近ではグラスランドで戦火が上がっているし――ゼクセンとハルモニアが絡んでいることは間違いないが、いまいち争いの理由がはっきりとしない奇妙な戦だ――、そこから避難してくる者も少なくない。しかし目立つわけでもない石版を見る外部の者など、ここ数年ではほとんど見かけることはなかった。 
 少年と少女は少しもこちらを見ようとせず、ただ静かに石版を眺めている。文字などとうの昔に薄れてしまい、眺めるほどの価値がそれにあるとは思えない。少なくとも自分には過ぎるほどの価値はあったが、そこに刻まれていたはずの歴史はもう読むことすらできないのだ。 
 ふと、少年が石版を撫でた。その行為に意味があるとは思えなかったが、それでも見ているだけでひやりとした感触を伝える黒い石版は、物もいわずただそこに存在しているだけだった。少女はその石版と同じくただ静かに少年を見つめるばかりだ。ただ一つ石版と違うのは、その少年の行為に向ける目がいとおしさにあふれているということ。少女の表情は見えなかったが、少なくとも彼にはそう感じられた。 
「―――…」 
 彼は一歩踏み出し、少年と少女に声をかけようとした。だが彼は声を出すことができなかった。その二人をとりまく空気、世界があまりにも綺麗で、あまりにも完結していたから、かける言葉が見つからなかったからだ。ただの少年と少女なのに、その様子はひどく哀しく、全てが終わっていた。それでも綺麗だと感じたのは一体なぜなのだろうか。 
 
 石版を撫でる手が止まった。そして少年はそのまま、彼を見上げた。二人の視線が交差したとき、その覚えのある感覚に彼は思わず叫びそうになった。 
「あ、貴方は――…!」 
 忘れるはずはなかった。かつて誰よりも冷たい瞳を持っていた少年は、今もまだ少年だったのだ。刺すような視線に、人を見下したように崩れない表情。全身で冷たい空気を宿していたあの少年は相も変わらず恐いほどに整った顔立ちで、しかしなぜかその冷たい空気はどこにも流れていなかった。彼は、変わったのだろうか。そんなことを考えたときに、少年に寄り添うように立っていた少女もまた彼を見た。少年の表情とは対照的に、少女はとても優しく微笑んだ。 
 ちょうどその時。 
 
「クラウス殿!」 
 
 名を呼ばれて、振り返る 
「――っ何事だ」 
 軍師でありながら平静時は非常に穏やかなクラウスにしては珍しく、いらいらとした声だ。呼び止めたのは偶然か否か、魔法兵団長だった。それがいっそうあの冷たい瞳を連想させて、クラウスは尋ねながらももう一度石版を見た。 
「いない……」 
「――どなたか?」 
「いや……」 
 ほんの少し前まで見ていたあの二人は幻想だったのだろうか。それにしては、あの石版を含めた周囲の空気は鮮やかすぎた。哀しいほど完結していた世界の中に、十五年前と変わらない表情と優しい笑顔。白昼夢とは思えない。 
 なんとなく嫌な予感を胸に、クラウスは魔法兵団長に用件を促した。 
「…それで用件は?」 
「実は…」 
 周囲を気にした兵団長がクラウスに耳打ちした内容は、まだそれほど重要なものではなかった。ただ調査が進んで、クラウスが今しがた見た幻想を哀しく思い出すのがもう少し先の話だということ。 
 
「実は、グラスランドの戦が終結したそうです」 
 
 クラウスはまだ、この戦争の首謀者が誰で、そこにどんな事実があったのかを知らなかった。 
 

>> DATE :: 2005/12/19 Mon




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